147.ヌーとワニ(木刀握る御都合主義者)
〈我流採点式・必読度&面白度 ★★★★☆

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写真は昨日、テレビ東京で放映していた動物ドキュメンタリー番組のワン・シーン。映りがワルイのは御容赦。諸般の事情により映っただけでももうけものゆえ。番組名は忘却したが、ひじょうによくできていた。牛のような動物が映っているが、これは「ヌー」である。餌を求めて季節ごとに大集団で大移動することで知られているが、この番組もその一部始終を追跡したものだった。タンザニアのセレンゲティから、ケニアのマサイ・マラの地までおよそ2000kmを数カ月かけて移動。途中に難関が。ヴィクトリア湖に東側から注ぐ「マラ川」である。ここを渡らなくてはならないが、この河川、ワニの一大生息地としてつとに名高い。
写真のヌー、実は右後脚をワニに食い付かれているのである。必死になって逃れようともがくヌー。固唾を呑んで見続けた。1分ほどのシーンだったが、この間の演出がよかった。カメラは、ズームやパンの類いを一切せずに固定したまま。ナレーションもナシ。むろん効果音やBGMの類いもだ。2度3度と水の中にひきずりこまれるヌー。そのたびに立ち上がっては前脚を駆る。思わず“コラ!ヌー!ガンバレヤ!”と声に出し、手を握りしめる代わりに机横に常置してある木刀を握りしめた。相当以前、包丁持って暴れる暴漢(執行猶予中の強盗未遂犯だった)をメッタ叩きにした(ちゃあんと、ソイツのスネ部を集中的に狙ったよ)その木刀で、くらいついているワニの脳天めがけて一撃をくらわしたい衝動に駆られた。
このシーンの前に、一匹のトムソンガゼルが無謀にも、ヌーやシマウマの群れを尻目に河川を渡り始めたのだが、その無謀さは50mほどはある川幅の真ん中へんまで渡ったところで証明された。水中から追尾してきたワニに襲われたのである(このシーンの演出も先と同様によかった)。そのシーンを観て、映画『ジョーズ』のワン・シーンを想起した。ああいうシーンながら、コッチは実写ドキュメントである。重みが違った。ないしは、羽化したての可憐なカゲロウが水面を羽ばたきながら流れる途中、水中から悠然と接近してきた大型鱒に“ガバッ!”と呑み込まれるシーンをも想起した。そのシーンを目の当たりにすると慌ててロッドを握りしめるのが常なのだが、今回は木刀だった。
>■写真のヌーは幸運にも、ワニの鋭牙から逃れることができ、崖を駆け上って群れたちに合流。ホッとした。ホントはかような感覚、マズイんだということは重々承知はしているんだけれども、やっぱりね。以前、このブログで「チーターとトムソンガゼル」の関係性を例に、人間サマのご都合主義を俎上に上げた手前、冷静・冷徹に客観せねばならぬのだけどもさ(先のヌーのシーン、演出はその点において『完璧』だった)。ハハハってね。
それにしてもワニってえ生き物は“損”な動物だ。同じ肉食獣であるチーターやらライオンとは違って、腹をどんなに空かしていても、飢えた子供が何匹いようとも、同情的スタンスからスポットを浴びることがまずないからだ。“やっと好物のトムソンガゼルを捕まえることができて嬉しそうなワニちゃん。ヨカッタわね!”なんてえナレーション、いかにノーテンキなNHKでもヤラんだろう。
人間の中にもそうした損な役回りを余儀なくされる方々がいる。それこそ、当方ごとき低輩に木刀で一撃くらっても同情されないような人間である。具体的には記さないけどネ。さあて麦トロ食べようか。これから空きっ腹を癒さんと、夕飯を“ガバッガバッ”とくらわんとする我がいる(今夜の我が家の晩餐、大好物の「麦トロ」である。コレに辛口塩ジャケと野沢菜とケンチン汁のセットがワタシの理想的な食菜ナリ)

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by KOKUZOBOSATSU | 2005-03-06 21:53 | ●テレビ(局)論