60.チーターとトムソンガゼル             (『客観』とはげに難しきもの也)
〈我流採点式・必読度&面白度 ★★★★☆

NHKの「地球!ふしぎ大自然」のような野生動物番組。4匹の子供を連れたチーターの母親。足取りがどこか重そうだ。「獲物がとれず、もう5日も何も食べていません」という女性ナレーション(ミヤザキ・ヨシコさんのイメージ)。声のトーンも沈み気味。あどけない表情で母親にまとわりつく子供達。「食べ物を催促しているんでしょう〜」とナレーション。“ウチの猫カンでも大量に持っていってあげたいなあ”といたく同情
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草を食んでいる一匹の小型の草食動物が画面にアップ。「獲物がいました!トムソンガゼルの子供です」とナレーション。「どうやら母親のチーターは狙いを定めたようです」と続く。態勢を低くしながら獲物に接近するチーター。ガゼルの子供は気付いていない。30mぐらい接近してから一気に走り出すチーター。気付いて瞬時に逃げるガゼル。トムソンガゼルも脚力抜群。とはいえチーターは地上最速の動物。ましてや“オトナとコドモ”。100mも走らないうちに粉煙があがる。脚足を宙に向け虚しく蹴るガゼルの子。「やりました!見事に獲物を捕まえました!」。ナレーションの声も弾む。「チーターは子供たちのために必死だったんでしょう。母親の愛の勝利です!」。“どうにもクサイ、ナレーションだぜ”と苦笑しつつも、嬉しそうにほうばるチーターの4匹の子を見てニンマリとする。「5日振りの獲物に子供達は競って食べています。ヨカッタですね」。“ほんとうにヨカッタ!”とホッとする自分。
数カ月後の同番組、今度はトムソンガゼルにスポットを。「群れで暮らすのはライオンやチーターなどサバンナにいるコワ〜イ猛獣から身を守るためです」とナレーションが入る。前回と同じあのナレーターの声。すると群れから離れてオロオロする一匹の子供が──。「ボウヤ、早く群れに戻らないとライオンやチーターに狙われちゃいますよ」とハラハラ声のナレーション。“こういう場合、子供の動物はなぜかみんなボウヤにされちゃうんだよな、オスメス不詳なのにさ”なんて思いながらも、やっぱりハラハラしちまう自分「アッ!チーターが接近してます!ボウヤ!早く逃げなくちゃあ!」。見ると身を屈めながらにじりよるチーターが。“ヤバイ!こりゃあ食われちゃうぞ”と思った矢先に、チーターが猛ダッシュ。慌てて逃げるガゼルの子。チーターが迫る!“絶対絶命!”と思った瞬間、ガゼルの子、右に急転回。勢い余って突っ走ってしまうチーター。慌てて方向を変えてさらに追尾しようとするが、すぐに諦めガゼルの後ろ姿を呆然と見送る。「チーターはせいぜい100mぐらいしか全速で走ることができません。最初のアタックで仕留められなければ、すぐに諦めてしまう動物なんですヨ!」とチーターに批判気味のナレーション。群れに戻って安心した風のガゼルの子。「よかったね、ガゼルちゃん。もうひとりでお散歩なんてしてはダメですよ」。“ちょっとクサイな、このナレーション”と思いながらも、“ああヨカッタ”と胸をなで下ろす自分。
以上、ナレーションやカメラワーク、構成方法やスタンスによって、テレビのドキュメンタリー番組を始め『報道』なるモノ、いかようにでもなるという“見本”。それについつい左右されてしまうのが“自分”を始めとした『世論』。同時に『客観』とか『中立』がいかに難しいかが分かろうというもの。犯罪報道の際、決まって構えるスタンスが「被害者の立場」。中立を標榜しながらも必ずハマっちまって抜け出ることできなくなる。“加害者”に飢えた子供が4人もいて“被害者”を襲ったなんて視点、ほとんど誰も構えない。女子高生の被害者が夜の夜中に「遊びに行ってくる」と言って出て行って、朝の4時頃、駅前でウロチョロしていたことに、きちんとスポットを当てはしない。加害者は「野獣の皮を被った悪魔」、被害者は「近所でも評判の良いコ」と喧伝されてオシマイだ。そしてまた次の犯罪が起きてはその繰り返し──。先日、千葉県茂原市で起きた“不良グループ”による女子高生殺害事件を見聞した際、ふとチーターとトムソンガゼルの番組を思い出した次第。a0020116_19542237.jpg
しかしなんだね。さっきの動物番組、数カ月後ではなく2週連続でオンエアしてたらどうなったのかね?シラけると同時に“自分”のご都合主義を反省するよい機会になったかもしれないなあ〜。チーターなんて『母性(愛)のカガミ』みたいに言われた翌週、『ダメ動物の見本』みたいに言われるんだからいい迷惑にして滑稽至極だぜと思いつつ、朝から日本テレビ、フジテレビと連続して“報道型ワイドショ−的番組”(『報道の皮を被った扇動番組』と定義しているけど)に耳目をそばだたせ、ブログ用ネタ探しに余念がない自分がここにいる──
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by kokuzobosatsu | 2004-12-25 11:29 | ●世事ひょうろん