人気ブログランキング | 話題のタグを見る
45.100円ショップの包丁             (元・若い板前サンのオススメ論)
〈我流採点式・必読度&面白度 ★★★★★

「100円ショップ」へ行くと、“これが100円かい!?”と驚かされる商品がゴロゴロあるけど、当方が最も驚いたのは「包丁」である。信じられん。料理好き・包丁マニアの自分の感覚では──。45.100円ショップの包丁             (元・若い板前サンのオススメ論)_a0020116_14163414.jpg学生時代の夏長野県の山奥深くにある(といっても相当有名なエリアだが)高原ホテルでバイトを2ヶ月間勤めたことがあるが、厨房担当になったお陰で包丁使いを仕込まれた。料理長から「増沢クンはセンスがイイ」などとおだてられて大いにソノ気になったわけだが、性に合ってるナとは実感した。“職人”と名のつく一切のモノや世界に幼少の頃からひかれていたからだ、と自己分析初っぱなは、ホテル脇の生け簀で飼っていた立派な鯉を網で掬うのみ。いうまでもなく「鯉料理」用だが、掬うのには3日で飽きた。何せ4歳の頃から、我が祖父やら叔父貴連に釣りを仕込まれていたから魚なるもの、食べるもの以上に釣るモノなる認識が擦り込まれていたため、掬うよりは釣る、すなわち「網」よりは「竿」となるのは全く自然の成りゆきだった。それに、網で掬うより釣り上げるほうが簡単だったということもある。御飯粒で即、釣れてしまうのである、生け簀の初心なるコイさんは。ゆえに、客室が満杯になると大いにテンションが高まった。“釣って釣って釣りまくる”必要が生じるからだ。
しばらくして料理長から、さばき方を教わる。ハマった。出刃包丁がものすごく手に馴染んだ。1ヶ月後には、鯉料理の担当は(バイトの)当方が仰せつかることに。そして「鯉のアライ」から「煮付け」「鯉こく」まで全てこなせることに。いわば、日本料理の基本である、刺身、煮物2種のコツを(ある程度)覚えてしまったのである。まあ、正統を標榜する料理屋では絶対にありえないことではあるが。わずか1ヶ月程度の見習い(業界では「アヒル」と呼ぶそうな)どころか学生バイトが包丁を握って、しかも「お造り」を作って挙げ句に客に供するなんてえことは──。当方が“天才”なのか、あるいは山奥のホテルゆえのことなのかは知らんけど、少なくとも泊まり客の大半は当方のこと、完全に“プロ”と認識していた。「(いなせな)若い板前サン」と呼ばれていたからだ。大いにモテたヨ、ウレシイことに。“高原に弱い”うら若き女性客が多かったしねえ〜。ヨン様ほどではないにしても“シン様”程度には…ハハハってね。
以来、料理、とりわけ出刃包丁を使う料理が十八番(オハコ)になった。それゆえ出刃包丁にはちとウルサイ。銘品も保有。そしてである。「100円ショップ」の商品、その出刃包丁に限らず洋包丁も刺身包丁も絶句モンのスグレモノなのである!むろん万単位の銘品包丁と比べれば、さすがに比較にはならぬ(それでも実は…なんだが)。しかしである。数千円程度の一般家庭用となら間違いなく伍する。“元・若い(いなせな)板前サン”の当方が太鼓判を押す!同じく100円で売っている「研ぎ器」もスグレモノ。3000円程度の製品と全く遜色はない。ヨロシかったら是非に!とオススメ申し上げる次第。
今度生まれ変わったら(道場六三郎サンみたいな)料理人に──と思う時がある。もっとも、日によって時間によって体調によってコロコロ変わるが。一昨日は(エリック・クラプトンやマイク・ブルームフィ−ルド並みの)ブルースロック・ギタリストだったし、昨日は(立場が大いに利用できるセコイ)NHKプロデューサーだったし、そして今日は(知的財産権の草分け)“エジソン”だし──。今から来世の期待に胸脹らませている自分がここにいる──
45.100円ショップの包丁             (元・若い板前サンのオススメ論)_a0020116_1524435.jpg
●下の洋包丁はブレード(刃身)が長いタイプ。トマトのスライスに最適。先端のみを使ってスウ〜ッとヤレば、見事に切れる。上の出刃は相当にタフ。3kgクラスの立派なカツオ(清水一郎さん、毎年アリガトウ〜)の硬い背骨もザクッと切れる。これが1本100円とは──!!!
by kokuzobosatsu | 2004-12-17 12:55 | ●くっきんぐごっこ